基礎戦略

ポーカーにおけるオッズとエクイティの考え方

ポーカーにおいて、どんなカードが配られるか、フロップにどんなカードが開かれるのかはランダムで神のみぞ知る、という感じですよね。しかし、ランダムな事象も確率の考え方を知ればあなたの戦略に組み込むことが出来るようになり、勝率アップに貢献してくれます。

 

本記事では、テキサスホールデム・ポーカーにおけるオッズとエクイティの考え方を紹介します。

 

ポット・エクイティ

ポット・エクイティとは、任意の時点であなたがポットを獲得する確率です。そのパーセンテージは、あなたのハンドがポットを獲得する確率、もしくはポットに入っているチップのうち「あなたがが得られるとみなせる量」となります。

 

実際の例として実際のゲームの場面を想定しましょう。あなたのハンドはAAを持っていて、一人の相手との戦いを想定します。この場合、ランダムハンドに対するポット・エクイティーは約85%です。つまり、あなたがオールインをして、相手がコールした場合、約85%の確率で勝つことができます。このときの85%というのは、あくまで相手がランダムなハンドの全てであなたのオールインにコールし、リバーまで全てのカードがオープンする前提での85%です。実際には、あなたがいきなりオールインすることもありませんし、相手は強いハンドでしかオールインにコールすることはないのでこれは現実的なケースではありませんが、考え方としてはこのようになります。完全にランダムハンドに対する勝率が85%であっても、「相手は弱いハンドではコールしてこない」という前提に基づくと、AAがプリフロップでコールされた時に実際のポットエクイティは85%より低い値となります。

 

ポット・エクイティの考え方は重要で、これを知ることで相手にドミネイトされないハンドをプレイすることの重要さに気づくはずです。例えば、AQoはとても強いハンドですが、AKsと相対するとエクイティは25%もありません。それがドミネイトされていない98で相対する場合、エクイティは33%となります。

 

上記のように、ハンドのエクイティはある地点であなたがポットを獲得する確率ですが、言い換えるとポットのチップのうち、どれくらいの量が「あなたのものか」を計算することができます。あなたが自身のハンドのエクイティを計算できれば、ポットに入っているチップとあなたのエクイティを比較してハンドをプレイするべきか、フォールドするべきかの判断ができます。あなたが3人を相手にする場合、全員がランダムハンドの場合の各プレイヤーの勝率は約1/4つまり25%です。そこに対して、ハンドがAAの場合はポット・エクイティは約63%です。(この63%というのは先述の通りランダムハンド前提であるため、実際はもう少しエクイティは小さいです。)

 

このとき、エクイティの考え方を使うと、あなたにとって勝率が25%以上ある場合には、ポットをできるだけ大きくすることが正しいプレイとなります。

 

ポット・オッズ

ポットオッズは、あなたがベットやレイズに対して、コールorフォールドを考える場合に役に立つ概念です。

 

ポット・オッズは先のエクイティの考え方に、ポットに既に入っているチップ量、つまりポットを獲得して得られるチップの総量に対して、コールするために必要な金額の比率です。

 

例えば、ターンでポットには70$が入っており、対戦相手から10$をベットされたとします。相手はどうやらトップペアで、現時点であなたは負けていますがフラッシュドローを持っており、アウツが9枚あります。フラッシュを引いた場合は必ず逆転できると仮定した場合、10$払ってコールすべきでしょうか。このとき、あなたのポット・オッズは70$:10$ = 7:1の確率となります。あなたがリバーでフラッシュを引く確率は約18%となり20%と考えると、引けなくて負ける確率80%:フラッシュを引いて勝つ確率20% = 約4:1となります。このケースでは、フラッシュを引いて逆転する確率がオッズよりも良いため、コールすることが正しいプレイとなります。

 

では次に既にポットに入っているチップが30$で、それ以外は全て同一の条件の場合を考えてみましょう。ポットオッズは30$:10$ = 3:1となり、フラッシュを引く確率は変わらず4:1です。この場合、あなたがフラッシュを引いて逆転するためのオッズはポットオッズよりも悪いため、フォールドすることが正しいプレイとなります。

 

少し複雑かもしれませんが、ポット・オッズを計算すると、あなたがポットを勝ち取る確率とコールに必要な額を元にその時点での正しいプレイを導き出すことが可能です。

 

インプライド・オッズ

インプライド・オッズは、あなたが、あなたのハンドがボードに絡んだ際に、将来のストリートで相手から引き出す(そして勝利して獲得する)チップを考慮に入れたオッズです。

 

例えば、先程のケースであなたがフラッシュを完成させる確率は約20%でコールが正当化されるためには4:1のポットオッズが必要でした。しかしこれが例えば、相手がリバーでトップヒットを絶対に降りない相手であった場合には、あなたはフラッシュを完成させた場合に普通の相手と戦う場合よりも多くのチップを手に入れることができます。極端な例ですが、こうした相手に対しては30$のポットに10$のベットをされたとしても、インプライド・オッズがあるため、コールすることが可能となります。

 

インプライド・オッズはノーリミット・テキサスホールデムでは特別な意味があります。先の、「絶対にトップペアを降りない相手」のスタックが非常に大きい場合、オッズは大きく膨れ上がり、あなたがハンドを完成させた場合に大きな利益を得ることができます。反対に、ドローハンドに対する警戒心が強い相手や、スタック量が殆どない相手の場合、インプライドオッズが通常より低くなるため、ギリギリのポット・オッズでコールすることは期待値のないプレイとなってしまいます。

 

自分のハンドの組み合わせ数と確率

テキサスホールデムであなたに配られるハンドの組み合わせは、52枚のカードの中から2枚を選ぶ組み合わせ数として求められます。この組み合わせの数は1326通りとなります。

 

対戦相手のハンドは?

対戦相手のハンドも同様に、未知のカードの中から2枚を選ぶ組み合わせで求めることができますが、ここで注意したいのは、対戦相手の持っているカードの組み合わせは、あなたが持っているカード2枚を除いた50枚の中から2枚を選ぶ組み合わせ数として計算が出来る点です。このことは、今後あなたがポーカーで確率を使いこなして勝ち組になるために必ず必要です。

 

対戦相手のハンドの組み合わせ数は、50枚の中から2枚を選ぶ組み合わせであり、1225通りとなります。52枚から選ぶ場合の1326通りと比べると137通り減っていますが、1200通り以上の組み合わせがあるというと、膨大な数の組み合わせがあるように感じられます。しかし、あなたは自分の持っているハンドの情報を使って相手のハンドを絞り込むことができます。

 

対戦相手のハンドを絞り込もう

例えばあなたがまだ配られたカードを確認しておらず、ハンドをアンノウンとした場合に対戦相手のハンドがAAである組み合わせは6通りです。しかし、もしあなたがAAを持っている場合、相手のハンドがAAである組み合わせの数はたったの1通りだけです。このように、自分の持つ情報を使って相手のハンドを絞り込んでいく考え方はポーカーの基本概念の一つです。

 

ポーカーで全く同じシチュエーションは二度とない

また、参考までに、フロップで開く3枚のカードの組み合わせ数は、ここでも自分のハンドを除いた未知の50枚から3枚を選ぶ組み合わせとなり、19600通りとなります。なお、ハンドとフロップの組み合わせともなると1326*19600= 約2600万通りとなります。同じハンドで同じフロップに出会う確率がいかに低いかわかりますね。これに、プリフロップでのアクションやポジションなどの要素を加味すると、ポーカーは基本的に一度として同一のシチュエーションがないゲームだと感じられるのではないでしょうか。

 

 

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